日々精進

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公の場で事件に巻き込まれたらやるべきこと1

社会的証明の原理、これは私たちは他人が何を正しいと考えているかに基づいて物事が正しいかどうかを判断する、というものです。この原理が特に適用されるのは、正しい行動が何であるかを私たちが決めるときです。特定の状況の下で、ある行動を遂行する人が多いほど、それが正しい行動だと見なすのです。
−ロバート・B・チャルディーニ 影響力の武器

最近通り魔とか物騒な事件が多いので事件に巻き込まれた時にやるべきことを書いてみます。


周りに人がいる状況で犯罪が行われることはまれにあります。
その際によく聞かれるのが「沢山人がいたのに誰も助けてくれなかった」ということ。
「ひどい!」「腰抜けめ!」と見知らぬ人を罵る前にどうすれば知らない人の援助を受けられるかを考えてみましょう。


なぜ人は犯罪行為を止めようとしないのか。それは状況が不確かだからです。


このことを理解するために影響力の武器[第二版]―なぜ、人は動かされるのかの一節を紹介しましょう。
以下はニューヨークでキャサリン・ジェノヴィーズという女性が殺害された事件についての説明です。

キャサリン・ジェノヴィーズは、声を出す間もなく殺されたのではありませんでした。長い間、彼女は叫び声を上げ、苦しんでおり、いわば公の事件だったのです。殺人者は35分間の間に三回、路上で逃げ惑う彼女を襲い、ついにそのナイフで、助けを求める彼女の叫び声をかき消しました。信じられないことに、38人の隣人たちは、アパートの窓という安全なところからみているだけで、警察に電話をかけることすらしなかったのです。

目撃者達は何もしなかった理由を「恐ろしかったから」「巻き込まれたくなかったから」と説明しましたが、
殺害に35分もかかっていることから警察に電話するだけで殺人を防ぐには十分だったはずです。理由としては不十分です。
またほとんどの人は「なぜ自分が何もしなかったのかわからない」と答えています。


ある二人の心理学者がこの事件を調査し、ある結論に達しました。それは一般に言われていた「38人もの人が見ていたのに、誰も行動しなかった」ということではなく、「38人もの人が見ていたので、誰も行動しなかった」というものでした。


このようになる理由は以下の二点です。
1.助けられそうな人が沢山いれば一人あたりの責任は小さくなる。きっと誰かが助けるだろう。もう助けているかも知れないなとみんなが考えるので、結局誰も助けないことになる。
2.多くの場合、緊急事態であっても本当にそうなのかははっきりしない。道に倒れている人は心臓発作を起こしたのか、酔っぱらって寝ているだけか。隣が騒がしいのは警察を呼ばなければならないほどの暴行のためか、それとも派手な夫婦げんかのためか。こういった不確実な状況の時、普通は他人の行動の中に手がかりを探す。そして周囲の人々も同じように周りの人の反応を伺っている。この時点ではまだ誰も行動を起こさず傍観しているだけだから、社会的証明の原理により傍観しているのが正しい、その出来事は緊急事態ではないと判断されてしまう。


この周囲に人が多くいるほど手助けを受けにくいという逆説的な状況は実験によっても確認されています。
周囲に人がいる状況で発作を起こしたように演技した場合、
周りにいる人が一人だけの場合は85%の確率で手助けを受けられましたが、
五人が居合わせた時にはこの確率は31%まで落ちました。
一人だけの場合はほとんどの人が助けたのですから、よく言われる無関心だから助けないというのは当てはまらないでしょう。何か他の理由があるのです。


つづく・・・